先月より、私自身が教鞭を執っているホスピタリティ関連の学校での「コンシェルジュ実習」という授業からコンシェルジュに必要な教養をご紹介しています。教養は、ゲストとのさりげない会話、又会食や社交の場面で欠かせません。第五回目は世界三大料理の最後「中華料理」です。
中華料理の特徴は、何と言ってもその広い国土と長い歴史の中で、実にバラエティーに富む料理として発展してきたことです。中華料理の特徴を一言で述べるのは難しいのですが、冷たい料理や飲み物が少ないこと、油を多用して強い火力で調理するものが多いことなどは挙げられるでしょう。調理法は高度に発達し、例えば青菜を炒めること一つにも時間の長短や技法、調味料の組み合わせで100種類以上のバリエーションができるほどです。
中華料理の代表的な食材には、「空を飛ぶものは飛行機以外、四つ足の物は机と椅子以外なら何でも食べる」などと揶揄されるくらい多種多様な素材を使用することです。日本ではよく中華料理を4つに分類しますが、それぞれの特徴と代表的な料理は次の通りです。北方系の「北京料理」は塩辛く味の強いものが多く、北京ダック、ジャージャー麵、水餃子などがポピュラーです。西方系の「四川料理」はスパイシーで辛いものが多く、麻婆豆腐、唐辛子入り麺のサンラータンなどが有名です。南方系の「広東料理」は素材の味を生かした比較的優しい味のものが多く、日本では一番普及しています。代表的な料理にはシュウマイ、エビ蒸し餃子、チャーシューなどおなじみのものが多くあります。東方系の「上海料理」は甘味を感じられるものが多く、八宝菜、小籠包、ワンタンなどが代表格です。
食事と一緒に老酒(紹興酒など)や中国茶を飲めば、中華料理の美味しさも倍増します。お茶は定番のウーロン茶だけでなく、ジャスミン茶、鉄観音、プーアル茶など色々なお茶の風味も魅力です。中国茶といえば、美しく、優雅にお茶を入れる作法、味わい、それを取り巻く精神性を含め、「茶藝(ちゃげい)」が有名です。書、詩、陶磁器などを茶に関わる周辺の芸術を含めて「茶藝」と呼ばれていて、いわば中国茶版の茶道といえるでしょう。
中華料理は大皿に盛られた料理を円卓に座って順に取り分ける伝統的な食べ方の他に、飲茶形式、フランス料理のように1人分が一皿ずつ出されるヌーベルシノワ形式などもポピュラーです。中華料理の食事のマナーはあまり堅苦くはありませんが、円卓の場合は出入り口に遠い席が上座なので、ゲストや目上の方に座って頂きましょう。中華料理はお客さまが食べきれないくらいの量を出すのがマナーなので、残すことは悪い事ではありせん。かえって無理して全部食べると「まだ足りない」というサインにもなってしまいます。日本人同士で食べる時はこの限りではありませんが、中国の方に招待された時は覚えておくと良いでしょう。
かつて私は、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて開業準備室に入りコンシェルジュチームとデスクの編成、開業後はチーフ・コンシェルジュとして勤務を経験したことがあります。横浜中華街のインフォメーションは莫大な量でした。お客さまから「中華街で食事がしたいのですが、お薦めを教えてください」「予約をお願いできますか」とのリクエストを多く賜りました。まず最初にするべきことは、それぞれ4つの中華料理の特徴をお伝えしながらお客さまのお好みの味を伺うことでした。そして質疑応答を重ねながら、お店のご提案、手配を行っていました。奥深い中華料理の魅力や違いをご紹介することも「横浜」という土地のコンシェルジュならではミッションです。
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