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Rikako Ikeda コラム No.35

ホテルにまつわる食のストーリー②

ホテルではその時代にふさわしい食の習慣や文化が育まれ、又宿泊のお客さまにまつわる新しいメニューが誕生してきました。上流階級の人々が自身のお城や宮殿で行っていた風習を、一般のお客さまの為にホテルでも提供したり、又特別なお客さまのリクエストによりシェフが特別に考案したメニューがあります。その特別な料理やお菓子にはお客さまの名前が付けられました。そんなホテルや有名な観光地にまつわる料理やお菓子についてご紹介していきます。第2回目は、「タルト・トロペジェンヌTarte Tropézienne」のお話です。

このお菓子は南フランスのサン・トロペ Saint Tropé というリゾート地で生まれました。

セレブリティや富裕層が集まる高級リゾートとして世界に名を馳せる南フランス港町、サン・トロペ。でももともとは名もない小さな漁村にすぎませんでした。1950年代頃からセレブリティたちがここでバカンスを過ごすようになり、1960年代の銀幕の女王、ブリジット・バルドー Briditte Bardot が一躍サン・トロペの名を世界に知らしめました。人々を魅了してやまないサン・トロペには、ブリジット・バルドーゆかりの名物スイーツがあります。それが、ブリオッシュにクリームを挟んだケーキ「タルト・トロペジェンヌ」。

このタルト誕生の逸話は、1952年頃、アレクサンドル・ミカ Alexandre Micka というポーランド人のパティシエがサン・トロペでパン屋を開店したことに始まります。彼は幼い頃祖母や母親が作っていたポーランド菓子を真似て作り、看板メニューとしていました。そのお菓子が後のタルト・トロペジェンヌです。1955年、サン・トロペ近くのラマチュエル Ratatuelle の海岸で映画の撮影が始まりました。ブリジット・バルドーが主役に抜擢され、映画のタイトルは “ Et Dieu… créa la femme ”(そして神は、女性を創った) 、邦題のタイトルは「素直な悪女」。まだ十八歳という若さのブリジット・バルドーが地中海の美しい海の如く輝いていた頃です。ある日、彼女は差し入れにもらったこのお菓子を食べ、とても気に入ったので、「このお菓子の名前はタルト・サントロペがいいんじゃない?」と提案しました。これがきっかけで、このタルトの名前を「サントロペの女の子」という意味のトロペジェンヌ Tropézienne と名付けました。サン・トロペにはタルト・トロペジェンヌを味わうことが出来るカフェやサロン・ド・テがいくつかあります。中でも有名なのは、赤いファサードの老舗の“セネキエSénéquier”。こちらのタルト・トロペジェンヌは絶品です。サイズも様々あります。

南フランスの2月といえば、ニースNiceが最もにぎわうカーニバル、Carnaval de Niceです。毎年2月中旬から2週間開催されます。南フランスに春の訪れを告げる大事なイベントで約130年に渡る歴史があります。ヨーロッパの3大カーニバルの一つといわれ、会場となるのはニースのマセナ広場とプロムナード・デ・ザングレです。昼も夜も華やかなパレードを楽しめます。カーニバルの見どころは3つ。1つ目は、18台のカラフルで巨大なフロート(山車)による「仮装パレード」。フロートのテーマは毎年変わり、約6カ月間かけて作られます。今年2024年のテーマは「ポップカルチャーの王様 」。2つ目はイルミネーション。そして3つ目は「花合戦」です。花合戦はとても芸術的、1台あたり約3000本もの美しい花々で飾りつけられたフロートに乗った〝カーニバルの女王〞が、パレードの後に観客に向かってミモザやガーベラ、アイリスなどの花々を投げていくのです。カーニバルの縁起物をもらおうと、観客の間で取り合いの花合戦が行われるのがクライマックス。花合戦の後、観客たちは花を抱えて幸せそうに帰っていきます。

この時期南フランスではもう一つの有名なお祭りがあります。イタリアとの国境近くにある南フランスの街マントンMantonで毎年2月~3月にかけて行われているレモン祭La Fête du Citron。約140トンのレモンや柑橘類を使ってデコレーションされたオブジェや山車などが街の中をパレードします。

柑橘、特にオレンジは「幸福」の香り と言われています。高揚感を感じることで気分の落ち込みや不安感を和らげ、ハッピーにしてくれる香りです。オレンジの花(ネロリ)は純潔を意味し、ヨーロッパでは花嫁の髪を飾るティアラとしても有名です。レモンの香りには「刺激」を脳に与えてくれる効能があるそうです。冬の南フランスは、花や柑橘類に溢れ、幸福いっぱいの素晴らしい季節です。

アロマブレンドオイル:ディライトDelight~喜びからの自他受容

アロマブレンドオイル:ディライトDelight~喜びからの自他受容

2月は幸福感を感じられ、集中力を高めることが出来るアロマブレンドオイル、ディライトを選んでみました。フローラル系の芳香な香りに脳が活性化される感じがします。そして柑橘系の香りで幸福感に包まれます。私のお薦めはウッドに数滴アロマブレンドオイルを垂らすこと。お部屋いっぱいに爽やかな香りが漂い、ポジティブで元気が出ます。そして心が落ち着きます。旅先やホテルの宿泊の際にも気軽に楽しめますね。ディライトDelight、その言葉の意味は「喜び、人を楽しませる」、まさにホスピタリティにふさわしい言葉も気に入っています。