お客さまとのエピソード、それが素晴らしいものだからこそ、敢えて皆さまにご紹介していきたいと思いスタートしたこのコラム、今月は子供への深い愛情ハリウッド式子育てについてです。

私は幸運にも、ホテルにて多くのハリウッドをはじめ世界の名だたるいわゆるセレブリティと呼ばれる、俳優、女優、アーティストの皆さまをお迎えし、お世話をする機会に恵まれました。

今回は、アメリカのハリウッドスターのエピソードをご紹介します。そのスターとは、現在はそれぞれ別のパートナーとの新しい人生を歩んでいらっしゃいますが、当時は大物俳優と女優のカップルということで大変注目を集めました。お子様を連れて来日、ご宿泊された際こんなことがありました。お二人とも映画のプロモーションや取材など多忙なスケジュールをこなしながら、東京滞在を満喫されていらっしゃいました。

ある日、奥様のデミ・ムーアさんがベビーシッターを依頼してきました。コンシェルジュがいつもお世話になっている大手ベビーシッター会社へ手配を依頼。英語を話すプロフェッショナルのシッターさんが時間通り来館されました。電話でご連絡した上シッターさんと共にお部屋へ伺いました。デミ・ムーアさんから、細かい指示を仰ぎ、シッターさんと共にお子様のケアを担当。そのリクエストの中に、とても印象的なものがありました。それは、お子様に絵本を１時間ほど読み聞かせてあげて欲しいというもの。但し私の役目は、絵本を読むのではなく、すでに絵本の文章が吹き込まれている音声のテープを聞かせながら、それに合わせて絵本をめくるということでした。音声をＯＮにし、絵本をまくり始めると、何とその録音された声の主はお子様のお父様のブルース・ウィリスさん、女性の声は奥様本人のデミ・ムーアさんが担当されていました。何とも贅沢な絵本の時間。忙しいスケジュールの中でも両親と声で繋がっている・・・俳優、女優ならではのアイデアです。私もこの貴重な絵本の音声を楽しみました。

後にこの時依頼した都内大手の素晴らしいベビーシッター会社から、ご縁があってか新入社員研修の依頼を受けました。実践型人材養成システムに基づき、入社された保育士育成に大変力を注いでいる会社です。テーマはホスピタリティ・マインド。その際、このエピソードを紹介させて頂きました。とても興味深く聞いて頂いたのを記憶しています。ホテルでのベビーシッターさんのお仕事は、ホテリエ同様、特別なお客さまに出会えたり、非日常的な状況に置かれることも多いのです。そしてシッターさんもコンシェルジュ同様、その人の資質や高いホスピタリティ性が求められる仕事です。そのシッター会社のサービスポリシーは、「寄り添うように」「慈しむように」「信頼に足るように」「妥協しないように」とありました。コンシェルジュのポリシーと重なります。