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Rikako Ikeda コラム No.17

至高のホテル コンシェルジュストーリー フランス パリ

今月より、新しいテーマでコラムを綴ります。世界の名だたる至高のホテルのコンシェルジュのエピソードをご紹介、これまで私が出会い、又感動したホスピタリティを提供して下さった実在のコンシェルジュへ敬意を込めて、毎回様々な都市の素晴らしいホテル、そのホテルの一流のコンシェルジュにスポットをあてていきたいと思います。

まずは、私にとってのアナザー・スカイ(自分にとって運命や縁のある場所)、フランスの首都パリからスタートしましょう。Hôtel Plaza Athénée Parisホテル・プラザアテネ・パリのシェフ・コンシェルジュのお話です。フランスの有名ブランド、クリスチャン・ディオールのアトリエ兼ブティックのあるモンテーニュ通りに位置する、優雅な曲線を湛えたアールヌーヴォー様式の外観、深紅のゼラニウムが美しいバルコニーが特徴のホテルです。

1867年のパリ万博の為、パリの有名な銀行家によってオペラ座近くに建てられたホテル・アテネを前身としています。1912年に売却された後現在の場所へ。大改装が施され、世界有数の美しいホテルに生まれ変わりました。ロビーに入り、目を惹くのは美しく飾られたフラワーアレンジメント。又ロビー中央で華やかな光を放つシャンデリア。シャンデリアは電球であるにもかかわらず、それはまるで本物の蠟燭の如く、炎が揺れている様な仕掛けまで施されています。中庭に面した回廊はギャラリー・ド・ゴブランと言い、パリでも評判のティーサロン。中庭とホテルのシンボルカラーの赤い日除けを眺めながら、かつて近くに居を構えていたマレーネ・ディットリッヒはお茶やシャンパーニュを楽しんだそう。私はイヴ・サンローランとお目にかかりました。

このホテルを愛した著名人は数知れず。。。デンマークやスペイン、ブルネイの王族、ジャクリーヌ・ケネディ・オナシス、カラヤン、ヒッチコック、マイケル・ジャクソン、シャルル・アズナブール、ロナウド選手等。この様な一流のゲストをお迎えしていたシェフ・コンシェルジュ、その人の名はジャン・クロード エルゲール氏。約50年にわたりコンシェルジュとして勤務。彼を慕い信頼し、このホテルを利用するすべてのお客さまの為に、パリはもちろんフランスそして世界中のあらゆる事柄に精通し、知識や情報を持ち合わせ、人脈を駆使し、どんなリクエストにもお応えしてきました。お客さまにさらなる感動をもたらした伝説のコンシェルジュの中のコンシェルジュ。

King of Popの異名を持つマイケル・ジャクソンからKing of Conciergeと呼ばれたとも言われています。ホテルの歴史やお客さまを誰よりも知る人物として総支配人から大変な信頼を寄せられ、ある日総支配人は、時のフランス共和国大統領ジャック・シラク氏へ一通の手紙を送ります。その内容は、「わがホテルに、フランス国家における外交、フランス国家のツーリズムに長きにわたり貢献してきた素晴らしいコンシェルジュがいる…」というもの。暫くして総支配人は、大統領自ら掛けてくれた電話を受けます。大統領曰く、「フランス国家より叙勲という形で、ぜひエルゲール氏の栄誉をたたえさせてくれないか」と。そしてその言葉通り、2007年5月、エルゲール氏は、その名誉と功績が評価され、フランス共和国より勲章シュバリエ功労賞を授かりました。

この逸話は、一人のホテリエ、コンシェルジュの担う価値観を、ホテルの枠を超え、社会、国家における役割という壮大なものとして示してくれているのではないでしょうか。まさにホテリエにとって革命ともいえる偉業でした。コンシェルジュが民間外交官、大使と例えられるのも頷けます。*シュバリエ功労賞[Chevalier]:ナポレオン1世により制定されたフランス共和国における勲章「レジオンドヌール勲章(Légion d’honneur)」の階級の一つ。「グラン・クロワ(大十字)」、「グランオフィシエ(大将校)」、「コマンドゥール(司令官)」、「オフィシエ(将校)」、そして「シュバリエ(騎士)」の五階級。

アロマオイル:エボリューション

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