先ごろ、権威ある国際機関のランキングで、コロナウィルス収束後、世界で最も訪れたい国のトップに日本が選ばれました。主な理由として、「治安が良い」、「移動手段となる交通網が整備されている」、「清潔」、「おもてなしが素晴らしい」、「食事が美味しい」等があげられました。人が旅をする為には、安全、清潔、交通、宿、人がとても重要だということをあらためて実感します。かつてヨーロッパでは、17世紀頃に大旅行ブームが起きました。これまで戦乱の多かった大陸がようやく平和になり、そして宿泊施設、移動手段に必要な交通網などが整備されて来た頃でした。
平和な時代となり、英国の上流階級の子弟に対する教育の最終仕上げとして行われたヨーロッパ大陸の旅行、それこそがGrand Tour グランド・ツアーでした。数ヵ月から時には数年にまで及ぶものもあったそうです。英国人は、まず自国からドーバー海峡を渡り、フランス、パリを目指しました。パリにとても有名なホテル、Le Meurice ル・ムーリスという最高級ホテルがルーブル美術館の隣のチュールリー公園前にあります。当時英国人御用達のホテルで、そこで働くホテリエは英語が堪能であることが重要な採用条件でした。そして南下しながら、英国人は暖かい気候を求めて、かつての英国領であったワインの産地であるボルドー、又ディジョン、リヨン、南フランスのコートダジュールの街ニースへ立ち寄りました。
ニースの地中海に面した散歩道をフランス語でPromenade des Anglaisプロムナード・デ・ザングレ、「英国人の散歩道」と呼ばれるのもその所以です。さらに南を目指し、文化や芸術の最先端であるイタリアを目指しました。ベネチアやナポリ、最終目的地であるローマは英国人にとって最も人気の観光地でした。旅の目的は、語学の研修,大学などへの短期留学,各国の上流階級との交流,そして美術品の鑑賞と購入などにありました。ベネチアの美しい絵画やナポリのカメオの宝石をお土産にたくさん英国に持ち帰った名残から、英国の美術館にはベネチアの風景を描いた絵画、骨董屋にはカメオのブローチを今でも目にします。
グランド・ツアーは、あくまでも個人主催であったので、費用も賄うことができる一部の富裕層の男性のみが参加できました。家庭教師が同行を務めるのが一般的で、旅の間、英国の若者たちは、フランスでは洗練された礼儀作法や社交生活を、イタリアでは古代ローマやルネサンスの遺産、絵画や彫刻といった高い芸術、文化、建築などを学びました。この様に近隣の諸国の政治、文化、芸術、そして考古学などを同行の家庭教師と共に学び、体験型の旅からあらゆる分野の教養を身に付けたのです。
グランド・ツアーは、様々な実情や状況に合った生きた知識を手に入れるための実用的な好機でもあったのでしょう。時代を経て、グランド・ツアーはその後、ヨーロッパのみならずアメリカの上流階級の若い女性たちにとってもフランスやイタリア旅行をするというのは、大切な教育のひとつとなっていきました。オードリー・ヘップバーン主演の映画「麗しのサブリナ」にもアメリカ人女性がパリへ行き、淑女になって戻って来るという場面が登場します。英国人が持ち帰ったイタリアの美しい風景画は、さしずめ現在の写真の役割を果たしていたといえます。その風景画を自身の邸宅に飾り、友人・知人を招いて自分の訪れた街やその風景画に書かれたホテルを指さしなら、今でいうソーシャル・ネットワークの様に自身の体験談を皆とシェアしていたのでしょう。
72100って何を意味しているのでしょう?とそのネーミングに興味をそそられます。このワイナリーの住所の郵便番号だそうです。そんな粋な名前の赤ワインです。ネグロアマーロという品種のみで作られたワインで、カシスの香りが素晴らしく、味に主張があるお料理とのマリアージュが最高!と生産者の方よりアドバイスを頂き、飲んでみました。チキン・ローストやトマトソース、ピザ、チーズ等との相性が抜群、素晴らしいアロマを感じながら味わうことが出来ます。Hoteluluホテルルサイトでこんな素敵なワインが手に入るのは嬉しいことです。