Hotelulu(ホテルル)

ポイント制度スタート

会員登録/ログイン会員登録/ログイン

カートを見る

Rikako Ikeda コラム No.47

コンシェルジュの教養講座① 世界三大料理 フランス料理 前半

今月から、新しいテーマのコラムをお届けします。私は、自身が教鞭を執っているホスピタリティ関連の学校で、毎週「コンシェルジュ実習」という授業を行っています。コンシェルジュに必要な教養は、ゲストとのさりげない会話、又会食や社交の場面で欠かせません。是非皆さまにもご紹介していきたいと思います。

まず第一回目は世界三大料理の一つ「フランス料理」についてです。世界三大料理とは、フランス料理と中華料理とトルコ料理のことを指します。フランス料理と中華料理はとても有名ですが、トルコ料理が世界三大料理と呼ばれるのは、周辺のアラブ、ギリシア、東ヨーロッパの食文化を広く取り入れ、拡散したという歴史的かつ文化的背景があるからです。14世紀から20世紀初頭まで長らく地中海一帯に勢力をふるっていたオスマントルコ帝国の時代に取り入れられた各国の料理は、トルコ料理となって逆輸出され、さらにオスマントルコの範囲を超えてポピュラーになっていったのです。

今月は代表格、フランス料理についてお話したいと思います。その特徴は、何といってもソースが高度に発達し、洗練されたものであること。フランス料理の原型はイタリア料理なのですが、イタリア料理がどちらかというと素材を生かしたシンプルな調理法が多いのに比べ、フランス料理は素材とソースを組み合わせた複雑で奥行きのある料理です。コース料理の場合、料理が出てくる順番は、オードブル→スープ→魚料理→肉料理→チーズ→デザートですが、レストランによってはオードブルやデザートが複数種類出てきたり、肉料理の前にお口直しのシャーベットが出されたりすることがあります。かつてのバターソースやホワイトソースなどこってりとしたイメージのフランス料理も、近年では時代の流れに合わせてヘルシーで素材を生かす調理法が多くなってきました。よく知られている特徴的な素材はフォアグラ、トリュフ、エスカルゴ、ジビエ(野生動物の肉)、ホワイトアスパラガスなどですが、1つの村に1つのチーズと言われるほど多様なチーズ、テーブルワインからグランクリュまで星の数ほどあるワイン、クロワッサンやバゲットに代表されるパンの数々。魚介などもよく食され、フランス料理に広がりを持たせています。

ソースはよく知られているマヨネーズソースをはじめ、さっぱりとしたヴィネグレットソース、ドゥミグラスソース、甲殻類から作るアメリケーヌソースなど。フランス料理のメニューにはコンソメスープ、テリーヌ、リエット、家庭的なポトフ、地方の名物料理カスレ(白いんげん豆と肉の煮込み)など多々あります。スイーツもタルト、シャルロット、フラン、マドレーヌ、マカロン、カヌレ、ガレット、エクレール、シュー・ア・ラ・クレーム、サバラン、クレーム・ブリュレなど数多くあります。フランス料理の歴史にも触れましょう。フランス料理の源流である宮廷料理は14世紀頃に発祥しました。当時はマナーや作法などは存在せず、さまざまな料理がテーブルに並べられていました。

歴史を辿ると、以外な事にも遭遇します。かつてフランスでは、肉や野菜などのロースト料理が中心で、カリカリのパンに乗せられており、そのまま手でつかんで食べていました。現在のフランス料理とは全くもって様子が異なりますが、この時代にフィリップ6世、シャルル5世、シャルル6世らの治世に活躍したギヨーム・ティレルというシェフが作成したレシピが、現在のフランス料理のレシピのプロトタイプともされています。大きな変化を遂げたのは16世紀です。この時期にイタリア料理がフランスに持ち込まれ、フランス料理は大きな変化を遂げました。1533年に当時のフランス王であるアンリ2世がイタリアのメディチ家のカトリーヌと結婚したことに起因します。カトリーヌはお抱えのイタリアンシェフを引きつれて、フランスに参上し、フランス宮廷内の料理を一変させました。素材を焼いただけの料理から、香辛料や砂糖やソースを使用した料理に変わり、ナイフとフォークを使う食事作法が一般的になりました。

また、ナイフやフォーク等の食器だけではなく、マナーもイタリアからの影響で取り入れました。例えばフレンチでよく知られる「スープは音を立てずに食べる」という作法はもともとイタリア発祥です。メディチ家との縁組みはフランス料理に非常に大きなインパクトを与えたのです。17世紀にはフランス料理の独自性を目指す動きが顕著になり、元来のイタリア料理との違いが大きくなりました。そして、フランスの高級な宮廷料理モデルであるHaut Cuisineオート・キュイジーヌ(至高料理)が誕生しました。これは現在でも最高峰のフレンチとして認知されています。

さまざまな宮廷料理人が調理技術の試行錯誤をし、総合芸術ともいえるフレンチは、ベルサイユ宮殿で栄華を極めたブルボン王朝期に確立されました。この時期まではフランス料理は宮廷内のみで一部の特権階級の人だけが口にしていました。18世紀末のフランス革命により食の状況は一変します。フランス革命によって、それまで宮廷で料理人として勤めていた人たちが失業し、街中でフレンチレストランを開くようになり、市民の間にフランス料理が広まって大衆も楽しめるようになりました。市民の間に広まったことで、フランス料理はさらなる発展をします。

19世紀前半にシェフの帝王として活躍したアントナン・カレームは、貧しい家庭の市民階級出身のシェフでしたが、それまでのフランス料理を一変させました。彼はオート・キュイジーヌをより現代的なものに向上させ、洗練されたメニューと精緻化されたレシピを作成しました。19世紀に入り、カレームの弟子であるグッフェとデュボワらによりフランス料理は大皿で食すものから、一品ずつテーブルに運ばれるロシア流サービスに変化しました。これはフランスのシェフが寒冷地であるロシアで料理を冷まさないで提供するために工夫したもので、後にフランスに逆輸入されました。その結果、すべての料理が最初に並べられるスタイルが改められ、前菜を出し、メインディッシュを出し、その後にコーヒーやデザートを給仕するというコースメニューが誕生しました。

19世紀後半にはフランスのシェフ、オーギュスト・エスコフィエにより、既存のフランス料理の大衆化・革新化が進められました。エスコフィエはカレームによって生み出された細部にこだわった数々のレシピを簡易化し、調理しやすいことを重視して各種メニューを改良しました。調理方法を体系化することによって、フランス料理がより庶民の間で身近なものとなりました。1930年代にはエスコフィエの弟子であるポワンらの料理人がさらに時代に合わせた形へフランス料理を進化させていきました。その後交通網の整備により、食材の流通が著しく向上したことにより、新鮮な素材の風味を引き立たせる調理技法がポール・ボキューズらによって考案され、新たな流行が出来上がりました。現在も世界各国のシェフたちによって調理技術の探求は行われており、今日まで発展を続けています。日本からも素晴らしいフランス料理のシェフが誕生し、日本、フランスをはじめ世界中で活躍しています。

コーヒー:モカ焙煎豆

コーヒー:モカ焙煎豆

苦味が少なく、深い酸味のフルーティーな香りが特徴のエチオピア産。モカ特有の酸味と甘い香りが際立ち、コーヒーが果実であることを実感しました。今回、お薦めの中細挽きで対応頂きました。甘い香りとコクのバランスが取れた味わいです。モカならではの酸味や甘い香りを楽しむ為にまずはブラックで楽しみ、その後ミルクを入れて飲んでみました。素晴らしい味です。