コンシェルジュの歴史を紐解いていくと、その原点は中世の巡礼の旅にあります。巡礼者が立ち寄る教会や修道院で旅人を温かくもてなし、困ったことを解決し、様々な質問に的確に答え、後に続く旅のアドバイスをしてきました。今月も様々なおもてなしの原点となっている世界の巡礼場所にスポットを当てます。
世界最古の一神教であり、約4000年の歴史を持つと言われる宗教、ユダヤ教についてです。ユダヤ教は、あまりに話が膨大、かつ現在も紛争との関わり合いがあり、又過去には暗い歴史も存在する為、ここでは聖地という観点から、そしてグローバル化した社会で少なくとも知っておくべき事柄を中心にお話したいと思います。日本ではユダヤ教徒の人口が少なく、まだまだ誤解や偏見もあるのが現状です。社会問題にも大きな影響を及ぼすこの宗教について理解をしておくことは、やはり大切でしょう。ユダヤ教は、キリスト教やイスラム教の基盤となった宗教として知られています。この3つの宗教は、共通の祖先アブラハムを持ち、聖書の一部を共有しています。しかし、神との契約の内容や救済の考え方などにおいて、異なる点も存在します。ユダヤ教の聖地はエルサレム。そこにはユダヤ教徒にとって聖なる岩である「神殿の岩」、キリスト教徒にとってイエス・キリストが処刑された場所である「ゴルゴタの丘」、イスラム教徒にとって預言者ムハンマドが昇天した場所である「アル=アクサー・モスク」があります。しかしながらユダヤ教には、キリスト教のような「総本山」と呼ばれる特別な場所は存在しません。ユダヤ教徒は、世界各地のシナゴーグと呼ばれる礼拝堂で祈りや儀式を行います。
ユダヤ教では、ユダヤ人をアブラハムの子孫として、唯一神(ヤハウェ)を信仰し、トーラー(ヘブライ語聖書)を聖典としています。これは、キリスト教の旧約聖書に当たるものです。ユダヤ教では、単に信仰するだけでなく、具体的な行為や実践が非常に重視されます。又ユダヤ教では、聖典であるタナフだけでなく、ラビたちの議論と解釈をまとめたタルムードも重要な教典とされています。タルムードには、道徳的な教えから、ユダヤ教における細かい実践方法まで、幅広い内容が収められています。ユダヤ教では、神が全ての場所に同時に存在するという考えを重視し、内面的な信仰を育むことが重視されます。同時に、儀式や行動規範の実践も欠かせません。このバランスが、ユダヤ教の大きな特徴といえるでしょう。このように、ユダヤ教は単なる信仰以上に、具体的な生活実践や知的伝統を重視する宗教なのです。ユダヤ人の歴史や文化を理解するには、このような点を押さえておくことが大切です。
ユダヤ人という言葉あります。いわゆるユダヤ教を信仰する民族のことです。現在の世界のユダヤ人の人口は1,500万人程度とされており、その約8〜9割がイスラエルとアメリカに居住しています。ユダヤ人の主な特徴は、ユダヤ人の生活の根幹にあるのがトーラーと呼ばれる教え。例えば、安息日の遵守や食事規定など、日常生活に宗教的規律が深く根付いています。又ユダヤ人は規律を守るだけでなく、勤勉で知的能力が高い民族です教育も非常に重要視されており、子どもの頃から学問に重点的に励む傾向があります。ノーベル賞受賞者の約20〜25%がユダヤ系とされており、アインシュタインやフロイトなど各分野で多くの偉人を輩出してきています。十戒という言葉を耳にしたことがあるかと思います。守るべき10の掟です。映画にも良く取り上げられてきました。
①ただ一人の神、ヤハウェを崇拝すること
②偶像を造ってはならない
③神の名をみだりに唱えてはならない
④安息日(シャバット)の日は労働をせず、時間を神に捧げること
⑤両親を敬うこと
⑥他人の命を奪ってはいけない
⑦ 不貞な行為をしてはいけない
⑧他人の財産を盗むことは禁じられている
⑨偽りの証言をしてはいけない
⑩隣人の物を欲しがってはならない がその内容です。
ユダヤ教では、食事に関するさまざまな戒律が定められています。清浄とされる動物の肉しか口にせず、乳製品との組み合わせは禁忌とされるのがカシュルートです。カシュルートに基づいて、「コーシャ規定(認定)」という、食品や製造工程が適切であることを証明する認証制度があります。ユダヤ教徒にとって、コーシャの食品を食べることは宗教上の義務であり、コーシャ認定を受けていない食品は口にしてはいけないとされています。ユダヤ教には、豚肉や貝類などの特定の食材を食べることを禁止しています。ホテルの朝食で提供されるベーコンやハムには気を付けなければなりません。近年ではこれらのタブーに対する考え方も変化しており、柔軟に対応するユダヤ教徒も増えています。
安息日(シャバット)には、仕事を控え、家族で食事を共にしながら静かな時間を過ごします。シャバットは、創造の6日間(天地創造)の後に神が休息されたことから始まりました。毎週金曜日の日没から土曜日の日没まで、一切の労働が禁止されています。家事、運転、買い物、電気の使用なども禁止され、祈りや家族との時間を楽しむことに重点が置かれます。ただし、例外として、病人の世話、死者の葬送など人命に関わる行為は許可されています。
ユダヤ教にはその他にもさまざまな習慣や規律が存在します。例えばメズーザー。これは家の入り口に設置する小さな箱の事で、中に祈り文が書かれた羊皮紙が入っています。ユダヤ教徒は、家に入るたびにメズーザーにキスをし、神への信仰を新たにするのです。テフィリンとは、朝と夕方の2回、額と左腕に装着する革製の紐です。紐には、神への信仰を告白する祈り文が書かれた羊皮紙が入っています。ツィツィットは服の四隅に房飾りとして取り付けられた糸です。モーセの律法を守ることをユダヤ教徒に思い出させる役割を果たしています。キッパーとは、贖罪の日(自分の犯した罪や過ちを償い、許しを求める日)に着用する白い布製の帽子です。
安息日や食のタブーは是非覚えておきたい事柄です。イスラエルのホテルでは、安息日の金曜日にはエレーベーターのボタンや電気のスイッチを付ける行為も労働とみなされます。どうしても利用する場合を考慮して自動で各階に泊まる様に設定されています。
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