ホテルは、様々な国のお客さまをお迎えする場所。そんなホテルでは異文化に触れる機会がたくさんあります。コンシェルジュがどのお客さまに対しても心地良く接することが出来、又お客さまから絶大な信頼を勝ち得る事ができるのは、コンシェルジュが多様性を受け入れ、様々な国の人々の言動や習慣に目を向け、確かな「国際マナー」を身に付けているからだと言えるでしょう。ホテルは社交の場と言われています。先月よりその社交に於いて、相手を敬い、大切にする為に必要な「国際マナー」についてお話しています。
国際マナー5回目、新年初めてのコラムは、『クッション言葉』についてです。クッション言葉とは、直接的な言い方で相手に不快感やショックを与えないよう、やわらく聞こえるために前置きとして使われるフレーズのこと。英語でもcushion又はcushion statementと呼ばれます。良く日本人は曖昧な答え方をするとか、Yes/Noをはっきり言わないなど、「曖昧さ、遠回しな言い方を良し」とする風潮があると言われます。けれどもホテルで使われる英語にも実にこの『クッション言葉』が多いことに驚かされます。
私自身、ホスピタリティ関連の学校にて接客の英会話を実習で教えていますが、この『クッション言葉』使いこなせると、日常の会話が一気に接客の為の会話になります。いわば魔法の様な言葉です。日本語、英語両方の『クッション言葉』を身に付けると実に相手との会話が円滑に進みます。特にビジネスの場で頻繁に使われますが、友人へ頼みにくいことをお願いしたり、断ったりする場合にも効果的です。特に「依頼するとき」「断ったり言いにくいことを伝えるとき」「意見や反論を述べるとき」の3つの場面で活躍します。いくつかご紹介しましょう。
*I’m afraid (that)…(申し訳ありませんが)
*I hate to ask you but…(恐れ入りますが)
*I know you are busy but…(お忙しいとは思いますが)
*I was wondering if you could…(もしよければ)
*I’m sorry to trouble you but…(ご面倒をおかけして申し訳ありませんが)
*If you don’t mind…(差し支えなければ)
*I would appreciate it if you could…(もしよろしければ…だとありがたいのですが)
*I wish I could but…(そうしたいのは山々ですが)
*I’d love to but…(そうしたいのは山々ですが) I’d like to but…という言い方もできますが、こちらは控えめな表現です。
*I hate to say this but…(言いにくいのですが)
*Unfortunately,(残念ながら)
*I’m sorry but…(申し訳ありませんが) Noと明瞭に答える際にも、Noの後に何かフレーズを付けると断り方もエレガントに聞こえます。
*No, I don’t think so.(いいえ、私はそうは思いません。)
*No, thank you.(いりません、ありがとう。)
*No, not now.(いいえ、今はいりません。)
現代は、SNSなどで自分の意見を述べる機会が非常に多くなりました。そんな時、このクッション言葉を是非取り入れて欲しいと切に願います。例えば、
*In my humble opinion,(意見を言わせていただくなら)これは、SNSのコメントでよく見かける表現で、略してIMHOもよく使われます。明白な事実としてではなく、自分の意見を述べる時に謙譲的な意味を込めたり、わざとへりくだることで意見そのものを和らげる効果があります。このフレーズを使うことで、特に相手に同意を期待していないことを理解してもらえます。
*To my mind,(私の考えでは)
*Frankly,(率直に言うと)
*Personally,(個人的には)
*As I see it,(私が思うに)
*It seems to me that…(私が思うには)
*I see your point but…(おっしゃることはわかりますが)
*With all due respect…(お言葉を返すようですが)
英語のクッション言葉は日本語のように深い意味なく機械的に使われるものもあれば、気持ちを込めて使われるものもあります。cushion statementは「まず相手を尊重し認める」ことが大切です。穏やかな会話はまさに言葉の芸術です。是非試してみてください。
2025年もホテルルHoteluluコンシェルジュとして、心を込めてコラムをお届けしたいと思います。 どうぞ幸せに満ちた良い一年となります様に。
細部の美しいカッティングがひときわ目を惹きます。伝統工芸士 清水秀高氏の工房の素敵な江戸切子のグラスはまさに憧れです。自分用に大切に使いたいイッピンです。職人技は見ているだけで雅な世界に浸れるでしょう。古典的なデザインから独創的なものまで幅広いので、日本酒や焼酎、ウイスキーのような洋酒とも相性が良いと思います。外国の方へのギフトにも喜ばれますね。